歯根の先端にできた病巣が全身に病気をつくります。
これは歯性病巣感染といいます。ムシ歯を放置してはいけません。
ムシ歯が悪化して歯髄(歯の神経)を化膿させたり、歯周病、根尖病巣などに冒されている時に、左図に示した部位に2次感染(歯性病巣感染)が起こりがちです。この歯性病巣感染症として知られている代表的な恐ろしい病気の一つに、心内膜炎があります。

2次感染の原因となる歯性病巣(特に根尖病巣)は、どうしてできるのかを知り予防と早期治療を心掛けましょう。
1.正常な歯の状態です。
健康な歯は、表面を水晶と同じ硬さのエナメル質で覆われています。その内側の象牙質は、俗に神経と呼ばれている歯髄の血液から栄養をもらい生きています。
2.歯の根の先端(根尖)までムシ歯に冒されると全身に悪影響が及びます。
ムシ歯が神経にまで達してしまうと、感染が起こり、終いには根の先に腫れ物(腫瘍)ができてしまいます。この病巣が全身に悪い影響を与えるのです。
3.根尖病巣が急激に悪化すると
顔が曲がるほど腫れてしまい、とても痛い思いをします。でも、正しい治療をうければこの根尖病巣はほとんど治ります。
次号で根尖病巣の治療の実際を説明します。

全身に悪影響を及ぼす歯の根にある膿の袋(根尖病巣)は、以下の説明のように治療します。高度な治療技術が必要です。
ムシ歯に冒された歯髄を歯内治療器具で完全に除去します。このとき当院では、手術用顕微鏡を使用しています。内部の状態を確実に把握し完全な治療をするためです。
感染した歯髄を除去した状態です。神経のあった穴は抗生剤と消毒液で無菌状態にします。
無菌状態にした穴に特殊加工した天然ゴム(ガッタパーチャ)を隙間なく充填します。こうすることで根尖病巣が3〜6か月で治癒します。

当院では、歯の神経の治療をする時に図に示すように患者さんにゴムマスクを使用します。これは治療する歯だけを露出させ、他の歯の細菌(プラーク)や唾液が治療する歯の神経の穴に入って感染することを防ぐためです。